ずぼん First of all, kiss, sweet kiss






!!WARNING!!
ナイツさんにち\(^o^)/んこ生えてるよ








 寝台の天幕が上がる絹擦れの音でリアラは瞼をひらいた。来訪者が誰かなど問うまでもない。リアラは彼が来るのを見越して寝室の鍵をわざとかけ忘れたのだ。とたんに胸が締め付けられたように苦しくなり、リアラは荒い息を吐く。
 平静を装ってまた瞼をとじる。寝たふりをしながらも、リアラの意識は徐々に近づいてくるトゥインクルダストの気配にくぎづけになっている。彼はただでさえ広いキングサイズの寝台の上を、ゆっくり、ゆっくり飛んでくる。ナイツは焦らすのが好きだ。
 星屑の光が瞼を通して煌く。ナイツが天幕を上げてここまで来る時間はほんの10秒にも満たなかったのだが、リアラには一時間も待たされたような気がしていた。リアラは自分がいつの間にか顔をしかめていることに気づき、力を抜く。


 「……」


 言葉は要らない。すべてのはじまりは優しいくちづけから。リアラはナイツの唇が自分のそれと重なってから初めて覚醒したように見せかける。彼が来るのを待ち焦がれているなどと察せられたら、きっとこの身は裂けてしまうだろう。
 触れるだけのくちづけを終えると、ナイツは扉を開けてとねだるようにリアラの下唇を食んだ。リアラはそれを受け入れる。腕を彼の背に回し、ほんのすこしだけ口をひらく。
 その隙間を抉じ開けるようにナイツの舌が入ってくる。ナイツの舌は生暖かい唾液に濡れていて、犬歯を撫ぜたり、舌の先を絡ませようとしたり、まるでそこだけが別の生き物かと思えるぐらい、彼のほかの部分とは感触が違っている。毎度のことだというのに、リアラはいまだ慣れなかった。
 お互いの息がくすぐったい。尾てい骨のあたりからぞわぞわと鳥肌がたって、リアラはぎゅっとナイツの衣服を握った。


 「……」


 唇だけでは物足りなくなる。ナイツはリアラのベストをはだけさせ、胸に触れる。ナイツはリアラがそこを嬲られるのが好きだと知っているのだ。否定したくなる。だがリアラは甘い声がこぼれるのを抑えようとやっきになる。悔しくて自分に覆いかぶさるナイツの脚の間をぐりぐりと膝でいじめてやった。ナイツの喉から嬌声が上がる。
 ナイツはリアラのように抑えたりはしない。ナイツはとても素直に感情を表現する。リアラはそんなナイツの表情をかわいいと思う。同時に耐えて歯を食いしばる自分の顔は、醜くてみられたものではないな、とも思う。
 するとナイツがリアラの考えを読んだかのように、彼の耳元で、耐えているリアラの表情はとても愛しい、とため息まじりに言うのだ。リアラは頬がかあっと熱くなるのを感じたが、声とは違い、抑えられるものではないので、どうしようもなかった。カーテンから差し込む月の光が天蓋にさえぎられ、寝台の上が暗くなっているのが救いだった。


 「……」


 ナイツの手が下半身に回ったので、リアラは思わずびくりと身体をふるわせた。期待にひくひくと収縮するそこに指を這わせると、ナイツはリアラにニィ、と笑いかけた。リアラは羞恥に目を瞑る。彼はナイツが来る前に自分がベッドでしていたことを後悔した。顔を覆いたくなる。
 まず中指がさしいれられ、内壁を確認するようにつつく。次に人差し指が入り口を押し広げ、薬指がもう準備が十分なことをナイツに教えた。
 こめかみから汗が垂れ、顎までつたい落ちた。ナイツはそれを舐めとって、リアラの額にくちづける。指はまだ内部に残されて胎内を掻き乱していたが、リアラはもう彼自身がほしくてほしくてたまらなかった。リアラは身体を揺らし、はやく、はやく、と早急にそれをねだる。
 もうナイツにはすべてがわかっているのではないか。鍵をかけ忘れているのはわざとだということも、寝たふりをしていることも、お前が来るのを待ち焦がれて、ひとりで自分を慰めていることも。
 ナイツは微笑んでいるだけで何も言わなかった。


 「……」


 言葉は要らない。すべてのはじまりは優しいくちづけから。待ちわびた彼にナイツのそれが押し当てられる。優しくついばむようなくちづけとは裏腹に、それが侵入してくるときはひどく辛くて、涙腺がゆるむ。
 なのにその瞬間を待ちわびているのは、自分がナイツを愛しているからだ。繋がったところから心が満たされていくからだ。
 ナイツはリアラの耳元で好きだよと囁く。返すべき言葉は声にならず、リアラの喉からは掠れた喘ぎが漏れるだけだった。言葉は要らないのだ。代わりにリアラはナイツの背に腕をまわし、控えめにくちづけを求めた。









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