ずぼん Hope(訳)






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I translated an amazing NxR fanfic(or slash)!
The original is here.
You should read! This is amazing!
I respect the origin novel, and author.
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 「うんざりだ!」ナイツは紅と黒の片割れに叫んだ。「アンタにはうんざりだ!」


 リアラは目をしばたいた。彼の顔は衝撃と当惑を写している。「なんだって?」


 「聞こえただろ。アンタは退屈だし、面白くないし、飽き飽きするし、無駄の繰り返しだって言ったんだよ。全然楽しくないね!」


 腕を組み指先で片腕を軽く叩きつつ、リアラは彼の怒りを鎮めようとした。「文句をつけているのか、ナイツ」


 ナイツは空中に斜めに寝そべり、何気なく片方の足をもう片方にもたせかけた。「文句じゃない。ただ真実を言っただけさ」彼はひじをつき、手のひらの上に頭を乗せながら言った。


 「親愛なるナイツ、お前は自分が苦境にあることがわかっているんだろう?」リアラはゆっくりと聞いた。釣りあがった眼がぴくぴく動くのは彼が切れそうになっている徴候だ。


 「お願いだからさ、バカなビジターしか捕まらない死の罠なんかでオレが分別を失うわけないだろ」ナイツはため息をついた。「毎週毎週さあ…」


 「お前は今度こそ死ぬ」


 ナイツは目を閉じた。「オレはずっとそれを考えてたんだよ。つまりだな、オレはずーっとお前に勝ってきたけど、今日はわざと捕まってみたの」


 「あえて?!あえてわざと負けただと?!」リアラは鋭く叫んだ、そしてナイツを憂鬱から切り離した。「お前は私を侮辱しているのか?!」


 「リアラ…」


 「私は本気だ」そしてリアラはナイツから顔を背けた。


 腕を組んで、ナイツもまたリアラに背を向けた。「フン!」ナイツは一連の思考を続けたかったが、彼の存在しか感じることができなかった。ただこのビジターがもっと賢かったなら、ナイツはリアラと話すための時間がもう数分はあっただろうに。と、思いきや…


 ナイツの周りのキャプチャーが粉々になり、またもや彼は自由になった。ナイツはあのビジターがどうやってこれをはずしたのか不思議だった。止まる時間も考える時間ももう無かった。「リアラ!」ナイツは彼の逮捕者に向かって突進し、そして、接触する前に、ナイツは自分たちの助けになる何かを取り出した−ドラゴンベルソナだ。装着し、ナイツは長い体をリアラの体に巻きつけ、そのまま飛び続けた。


 「何をやってるんだ!」リアラは悲鳴をあげた。


 もしナイツが話せたとしても、彼はなにも答えを持っていなかった。彼はリアラを遠くへひっぱって行きたかったし、すべきだということを知っているだけだった。ビジターから、ナイトピアの住人から、ただ遠くへ。やっと二人がいつものように広大なナイトディメンションの夜空に入ったとき、彼はリアラを捕まえたまま静止した。


 「私の爪が自由になったなら、私はお前の皮をはぎ、戦利品として身にまとうだろう」リアラは脅した。ナイツは、何もいえなかったが、彼の龍の頭でリアラの頭を愛撫した。「人の上にたった態度をとるな、ナイツ」ナイツは頭をはずしたが、束縛は解かぬままだった。


 リアラは眼下に広がる黒い海を見下ろした。「私をあそこへ落としたらどうだ?」


 ナイツは穏やかに首を振った。


 「なぜ?!」リアラは知りたがった。「そうすればお前の退屈だって解消されるだろうが?そうだろう、ナイツ?」


 ナイツは何も言わなかった。できたとしても、しなかっただろう。


 「お前がどんな信じがたい考えを抱いていたとしても、私は戸惑ったりしない。私はこの種のものには慣れているんだ」リアラは言った。「マスターも同じように私を拘束した…」


 この言葉にナイツはもう少しでリアラを放してしまうところだった。やはり、ナイツも、怒りにまかせて自分たちをわしづかみにする、ワイズマンの手を覚えていた。彼はナイツたち自身の地位を気づかせるために罰したのか、いや…違う。ワイズマンは彼らを人形のようにわしづかみにすることを選んだ。彼が操れる人形。彼が従わせられる人形。彼が望んだときには破壊できる人形。


 ナイツはペルソナをとった。もはやリアラは彼の鱗ではなく、腕で抱きしめられていた。「ごめん…」ナイツはそっと言った。


 ナイツの抱擁は優しくて暖かく、リアラを混乱させた。愛情を示すための優しい仕草などはナイトピアンのものだ。ナイトメアでは、そのような仕草は致命的な暴力のすぐあとについてくるものだった。しかし、ナイツの心はナイトピアに存在していたから、リアラはそんな攻撃が来ないことを知っていた。


 もしそんな攻撃がこないのなら、なぜリアラはそんなに苦しかったのか?なぜ彼の視界は突然ぼやけだしたのか?なぜ、彼はのどに飲み込めないしこりがあるように感じたのか?


 「…なぜだ?」ようやくリアラはナイツに聞けるようになった。「なぜ?」


 再度、ナイツは答えなかった。彼はゆっくりと抱擁を解き、片方の手でリアラの手を握って、優しく彼を飛行にいざなった。彼らは紫と黒に輝く空の間を飛行した。誰が彼らはどのくらいの時間飛んでいたか知っているだろうか?そんなことは本当に重要だろうか?


 飛んでいる間、彼らは何も言わなかった。散歩と、美しい空と、そして二人は発見した。この交際は悪くない。過去には何も起こらなかったかのように思え、ふたりはただの人生を楽しむ人々だった。


 平和だ。リアラはこの考えにため息をついた。そんなに簡単にいくのか?彼はナイツを見、その紫のナイトメアンのデザインに見とれ始めた。ナイツはいつもより堂々として見え、その瞳は魅惑的なものを持っていた。もしかしたら、常に半分閉じられた二重まぶたが、そんなにも誘惑するのかもしれない。それでも、リアラは挑戦のまっただなかにあったときの彼の瞳が一番好きだ。激しい感情がナイツの中で燃え上がるとき、そのときの獰猛な美しさが。


 リアラが考え事をしてくすくす笑っているので、ナイツはムッとした。


 「んん?」ナイツは振り返ってリアラを見た。


 「なんでもない、ナイツ」


 頷き、微笑んで、ナイツは前を向いて旅を続けた。リアラはまたため息をついた。彼の心は今までにないぐらい軽かった。ナイツがこの効果をもたらしたのだろうか?リアラはナイツもまた彼をかき乱す一人だったということを認めていた。彼はこの問題をよく考え、とうとう停止した−彼の繋がれた手がナイツをわずかに後ろへ引っぱった。


 「何?」ナイツは聞いた。リアラはナイツを抱きしめることで応えた。「おや…」ナイツがその抱擁をやっと楽しみ始めるのに数秒かかり、彼はやさしく上体を上にそらした。彼は鼻歌を歌っている間、片手でやさしくリアラの頭をたたいていた。


 リアラはこんなに和やかに感じたことは無かった。彼はこの穏やかな時間が永遠に終らなければいいと思った。


 「いつでもこんなふうになれるぜ、リアラ…」


 リアラはナイツが自分の考えを読んだのかと不思議がった。違う、彼は推量しただけだ。彼らはお互いにこの調和を望んでいた。ナイツはただリアラと同じように考えていただけだった。


 「これには退屈しないだろう?」


 ナイツはくつくつと笑った。「どうだろうね」彼はみつめた。「いいかい、オレはライバルとしてのアンタを失いたいとは思わないんだ…でも…オレは友達としてのアンタも欲しいんだ」


 リアラは嘲笑した。「十分な友人がいないんだな?」


 「…私はお前を友人とはみなさない」


 「多分私はお前と友達にはなりたくないんだ」


 ナイツは目を丸くした。「そうかい!」彼は憤激して叫んだ。「オレたちは友達にはなれないだろうな」


 リアラは眉をよせた。彼は怒りを感じ、あえていうなら、少し失望していた?「それはよかった、ナイ…」


 さっと動いて、ナイツは唇を彼の唇に押し付けた。乱暴で、それでいて暖かいキスはリアラに衝撃を与えた。彼はナイツがキスする間動くことすらできなかった。ナイツがキスをやめたときさえも。


 「きっとオレたちは何かほかのものになりたいんだと思ってた」ナイツはリアラにウインクした。彼の瞳は挑戦と茶目っ気であふれていた。


 たくさんのことをリアラは言いたかったし、叫びたかったが、顔が燃えるように熱くて声が出なかった。


 ナイツはくすくす笑って、リアラにもう一回軽くキスすると、抱擁からするりと抜け出した。


 リアラを背後に残したままナイツはゆっくりと遠ざかった。「こ、ここに戻って来い!」彼は叫び、ナイツを追いかけた。彼は簡単にナイツを捕まえた。ナイツの快活な笑い声が捕まえられるのを望んでいたということを示していた。リアラは時間を無駄にしなかった、そして怒って彼にキスした。


 ナイツは腕をリアラの頭に回し、きつく抱きしめ、深くキスした。お互いを探検し味わう間、彼はリアラの甘い声を聞くことができた。少なくともリアラのシャープな舌は何かに便利だ、とナイツは思った。手をリアラの細い腰にまわし、ずりおちる彼の尻を支えた。 彼はリアラをぎゅっと抱きしめて苦しそうに喘がせ、より近く抱き寄せて彼を持ち上げた。


 「いいかんじ…」


 唇が離れる短い合間のたびにナイツはつぶやいた。結局、リアラは頑固でいることをやめ、素直にくちづけを享受していたので、彼はとても嬉しかった。ナイツはリアラがこれを続けたいと思っていることを願った。彼らの人生の残りのためにさえ。


 ナイツは強くそれを望んでいた。


 ついにリアラは唇を離した。「よかったぞ」ナイツは彼に輝くような笑顔を向けた。「もしかすると、ナイツ、これはそんなに悪い考えでもないな」


 「ええ!『もしかすると』だって」ナイツは怒ったふりをしつつ言ったが、くすくす笑いが漏れていた。彼はもう一度さっとキスを落とした。「思ってたより全然いいと思うぜ」ナイツは手の中の彼の柔らかい部分を愛撫し始めた。


 リアラは空気を吸い込み、目をつぶった。「やめろ…」彼は静かに言った。


 「なんで?」ナイツは聞いた。「してほしそうに見えるけど。ちなみに、お前がしてほしいならオレは全部してやる。アンタがするべきなのはお願いすることだけだ」リアラは顔をしかめて目を開けた。ナイツはにっこりと笑って抱擁を解いた。ナイツは彼に手を伸ばし、リアラの前からすこし距離をとって浮いていた。



 「レースしたい?しばらくしてないよな。終ってからだってそれ以上のことはできるし」


 リアラはナイツに艶めかしい笑みを向け、唇をなめた。「うむ。よしナイツ、受けてたつ」


 そして二人のナイトメアンは飛び立った。彼らの未来がもたらすものは希望に満ちていた。









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